さよなら人類

── いろんなニュースを見聞きする。
介護施設の送迎車が全焼、… 運転していた人が、中にいた高齢者を、自分のことよりその人を助け出そうとして火だるまになった…
こういうニュースを知った時、なんともいえない、つらい気持ちになる。
そして俺自身は火だるまになったことがない。それでも、その助け出そうとして全身に大やけどを負った人が、どんなに熱かったろう、どんなに苦しかったろう痛かったろう…と、その人自身になったような、その人に同化したような、その人のことがわかったような気持ちになる。

── それはお前に限った話じゃない。
人間に生来備わっている素晴らしい性能だよ…

── 人の立場、気持ち… その人に、自分ではないのに、その人のそういうところに行けるというか。
ほんとにすごい能力だよね。
でもそういう能力を持っているからこそ、「こうしたらこいつはイヤな思いをするだろう」とか「こうしたら苦しむだろう」とわかって、SNSや何かで攻撃することもできてしまうんだ。

── 悲しいというか、哀れなことだ。
そういうことができる人間がね。
せっかく備わっている性能を…

── 優しさと残酷性、聡明さと愚鈍さ… 対極のもの、複雑なもの、単一でないものが混ざり合ってヒト一人、個人、人間ってやつは出来上がっているんだ。
自分の中をよく見てみろよ。一人の人間の中をよく見てみろよ。誰も、一辺倒な、まっすぐな道のようには出来ていない。
たった一人の人間の中でさえ、そうなのだ。

── 自分をよく見つめること…
その中で両極端にあるもの、その一方が愚劣とか悪だと判断されるもの、それを自分の中で大きくさせないようにすること…

── ほんとうに人間、一人の中に、人間の中にはすごい可能性があると思うんだ。

── そうなんだけどね…
さて今回の曲、「さよなら人類」。
ちょっとナナメから物を見て歌っているようなキーボード奏者がボーカルもつとめている。
面白い曲だよ。ずいぶんヒットした。

── 物事をいろんな角度から、場所から見る… たいせつなことだよな、何としても、それは。