きさらぎ、やよい

 こないだはいつ東京へ行ったろう? 二月の頭だ。今週七日にまた行くのだから、約一ヵ月ぶりか。
 つくづく、もう少し近かったらまだ気軽に行けたと思うが。今回は十日までいる… といっても二泊三日か。そうだ、こないだは一泊しただけで帰ってきたんだ。そんな長くいてもなぁ、と思って。
 実家… 血を分けた兄弟とはいえ、父母が健在の時もそうだったが、何か気詰まりするものを覚える。
「ふつう、そんな家族と会うのに気は使わんぞ」と職場の誰かに以前言われた。

 しかしいくら家族とはいえ人だから… 人と一緒にいることが何かツライんだと思う。
 職場なら別の目的がある、「仕事をする」という。しかし「人と会う」目的は人と会う以外にない、そして取り立てて話をするべき話もない…
 ただ生きてるうちに会うという、年齢、あとさきそんなに長くないかと思える、そのために。
 それとて、そんなこといったら誰でもそうである気になるが。

 四国に住む友達にも誘われているが、行かぬままもう一年が過ぎるのか、いやはや時の流れは! 怠惰というわけではないつもりだが… 頭の中は精勤だ、身体が面倒臭がってる。
 ひとりが好きというわけでもないつもりだが。それでも人はいる、好き嫌いに関わらず、いる。自分がここにいるように、どこにでも。ひとりで何か読み、何か書く、この時間もあるように、誰かと交わる時もある。

 それ以上も以下もない。以上にも以下にもするのは頭の中だけ。それが実際に行なわれる、現になる前後に、考えることだけが。
 そして会う人間が、会おうとする人間が、会った人間が、何を考えているのか何を考えていたのか分からない。自分がそうであるように。時間が流れるから。そこにずっと留まるものはないんだ、いつだって。