神妙な時間

 おとといの夕方から、急に体調がおかしくなった。
 たまにあるのだが、肩から背中にかけて、子泣き爺がおぶさっているように重い。
 頭は霧中の森のようにどんよりする。
 身体から、抜け出したい気になるが、一度抜けたらもう戻れそうにないので、我慢するしかない。

 一晩、眠いまま眠れず、布団の上で寝返りをうち、寝返りをうち、ラクな体勢はどれだ、といろいろな体勢を試してみる。
 といっても、うつ伏せが、仰向けか、左右のどちらかの横向きしかないのだが。

 半端なうつ伏せが気に入って、しばらく半端なうつ伏せの体勢で動かずにいる。
 が、次第に飽きてきて、また寝返り、また寝返りを繰り返すうちに、ぼんやり朝になった。

 薬局に行って、「うこん」の錠剤と、歯磨き粉を買う。
 1日、横になって本などを読んで、夕食はゴーヤチャンプルーをつくった。ついでにモヤシとニラの炒め物、キャベツの千切り。

「うこん」を飲んで、シークワーサーの焼酎割りを飲む。焼酎のシークワーサー割り、か。
 また夜になって、朝になる。その日、きのうも、1日、子泣き爺は石のように背中から離れず、頭は相変わらず霧がかっている。

 布団の上に横たわりながら、もう、ダメなんじゃないか、と思う。
 タバコも17歳から吸ってきたし、ワインとビールは中学あたりからだった。

 夜中にレコード、ワインちびちび、といってもサントリーの赤玉ワインだが、小さな声で歌いながら、よしだたくろうの「人生を語らず」だ。
 もう、あの頃から、ダメだったんだな、などと、神妙に過去を振り返りながら、いつのまにか眠る。

 3日目の今日、夕方から、だいぶ回復した。「精神的な生活」という、卑屈な自閉症気味の主人公の物語、書いている。
 こいつは、100枚ていどになる予定の小説。やっぱりたいへんな作業、でも、そんなに悪くないと思う。さて、どうなりますやら。