情報

 情報を求める心理は、他者(個人・ひと)への関心を失わせるものになり得るだろう。これだけのネット、情報!、自分の好きな情報だけを得るために、あらゆる情報を手に入れようとすることができる… 実際、自分の好みのものを探し、その「好み」を探すだけでも大変な作業だ。

 そして時間はアッというまに過ぎる。好みのもの、求めるものだけを探すだけで。しかも、自分の好きなものを求めているから、たいして苦痛でもない… 「お気に入り」のものが見つからなければ、ああ残念、と少しは思う、だが「好きなものを探していた」時間への後悔はない。

 好きなものを探していた時間は、自分が好きで過ごした時間だからだ。そしてそれは、「人」を求めるものではない。「人」の見えるものでない。あくまで自分の気に入った「もの」を求めるのであって、言えば「自分しか見ていない時間」なのだ。

 ちょっとした文章から、「あ、この人は…」と、その人自体を見たような気になって、ほんとうに見たような気になって、その人自体を「お気に入り」にする人は少ないだろう。それはそれを見る人が、乱暴な言い方をすれば「人を見る目がない」のだ。最初から、人のことなど眼中にないのだ。

 人を求めるなら、「出会い系」。マッチング・アプリに行けばいい。ちゃんと、用意されている。ブログは有名人、あるいは他者に向けたわざとらしい日記が主で、およそ自分のために、ほんとうに自分のために書いている者は少なく見える。

 最初から「他者」にばかり目を向けて、自己の中から、自己をよくみつめて始まったものは、そこら辺の現実にいる人を見ても少ないように感じる。そう、私も一つの、単なるブログという形の情報の一つにすぎない。── そう考えると、少し気楽になる気もする。

 自己を、よく、よくみつめて書かれた、そんな文章… ブログ、つまり「人」と出逢いたいものだ。なかなか、お目に掛かれない。