── Мちゃん、自分がこう言ったら、相手がどんなふうに感じるか、を考えてから言わないと。
思わず言ってしまった。
Мちゃん、ちょっと戸惑った様子でこっちを見つめていたか… こっちはこっちで、どう言ったらいいか自分のことで精一杯だ。
── だってイヤでしょう、自分だってそんなこと言われたら。
Мちゃん、Оくんに、ごめんごめん、とか言ってたかな。
思い切って、言ってよかった。それまでもМちゃん、相手のこと考えないで自分の言いたいことだけ言うパターンが多かったから。こっちとしても、言わざるをえなかった。言ったからって、場の雰囲気も壊れなかった…
Оくんの奥さんのこと、あんまりよく言わないもんだから… 当人がそこにいなくたって、言っちゃいかんことだ。介護施設で、オンナのカゲグチの怖さはこっちも知ってるが… 当人がいないからって、悪いこと言うな!
でも、あとから考えた… 気づくのは本人なんだよな、気づかすことなんてこっちにはできない。今回はたまたま、やんわり言えたけど。
これを言ったら相手はどう思うか? そういうのも習慣、習慣のつくる第二の人間性、人格… 性質ってもんかな、生まれもっての気質はあるにしても!
こっちだって人を傷つけてる、どうしてかひどい雰囲気をつくってしまうことがある! そのたびにイヤな気持ちになる… 相手も、そうした自分も。何とかしなきゃ、この自己を!とその度に思う…
何が言いたかったんだっけ… ああ、気づくことだ。
A君がB君に、どんなに「気を使って」言葉を投げかけたとしても、B君がその「気」に気づかぬ場合は?
また、B君はそんな環境に育って… つまり「相手のことを何も考えない」ように人と接する環境に育っていた場合は?
また、A君が気を使って何か言っても、B君はそれに気づきながら、A君のことが気に入らない場合は?
また、B君の冷たい態度が、A君への「そんなに気を使うなよ」というやさしさだったとしたら?
「気」ってやつは、なかなか…。
出掛ける家人に必ず玄関先で言う言葉、「いってらっしゃい、気をつけて!」
そう、気をつけて歩いていれば、転ぶこともない。
自分が気をつければ、雑務も、仕事も、気をつけてやれば、そんな悪いほうへ物事、はこぶまい。
物事は自分だけで成り立っているものでなく… でも自分が気をつけることで、まわりにも多大な迷惑、そんな大きくなるまいて。
正しく気を使うこと! 相手、まわりの気はどうあれ… 自分が気をつけること。
こんなところか。