「モーツァルトはいつも死を考えていたんじゃないか」
吉田秀和さんの言葉。

「ああ桑戸よ桑戸よ、お前は真実の世界に行ってしまったが、われわれはまだこっちに残されたままだよ」
友達の死を嘆いた荘子の物語の一節。

死が、死以外に真実がないとするなら、こっちの世界、〈生〉の世界は…

昨日、目の前、距離はつかめないが目の前の方にあった塊、丸く、中からマグマのようなものが割れ目から見えていた、隕石のような、ヒビ割れた丸いものが…

私は、その隕石のようなもの、今にも爆発して消えてしまいそうなものを、消えることはない、宇宙の塵、この世の塵、あの世の塵か、砕け散って霧散する隕石のようなものを…

じっと見ていた。

近づきもせず、引きもせず。今もじっと見ている…

最初、それは、それ自体が消えたのかと思った。
だが、いる。いた。まだ。
消えたと思った、感じたのは、私自身の何かだった。

それに向かおうとする情熱のようなものが。

すると、目の前のそれも、消えたように感じられたのだった。

だが、まだそれはいる。そこにいる。
私は近づかず、遠のかず…
そっちへ目を向ければ…