人間を支配するなんて簡単だ。
自己満足に拍車を掛ける物を生活に散りばめればいい。
それなくして自己が成り立たないほど、生活に密着した物を。
ヒト本来が持つ「自分自身への関心」にのみ、全関心をそちらへ仕向けられるように… 他者、人間への関心など、自己への関心に比べれば取るに足らないものなのだ、と。それが当たり前じゃないか、とさえ言い切れないほどに、空気のようにしてしまえばいい… 同じような文章を書き、同じような物言いをし、同じような生き方をし、価値観、感性さえ同じように… できるんだよ、人間なんて管理されたがっているんだから。
斯くして烏合の衆ができあがる… 大衆、一般、普通と呼ばれる公道が。大手を振って闊歩するんだ、おもちゃの兵隊みたいに。恐ろしいほどの愚民化だ… 今に始まったことじゃない。
人間を支配するほど簡単なことはない、怠惰になるよう仕向けりゃいいのさ。
セリーヌに言わせれば紀元前から計画されていた〈人間白痴化〉… ユダヤ人、国を持たぬ、持たされなかった民の怨み… この世が戦争になり人が不幸になり人が泣き叫び人が苦しむことを喜んでいる人々の存在…
ユダヤがどうあれ、世界がおかしくなってることは確かだ、もうずいぶん前から。
人間の野蛮性、残虐性、冷酷性、自己愛だけの愛、他への無関心、人間の持つマイナス面の性質だけが伸びるよう、世界はつくられ、仕向けられてきた… のだとしても、それが人間の限界で、そうなる世界を選んできた… のだ。
それとも、ほんとにそこまで、抗う余地もないほどに、完璧な、絶対服従、不服従は許されないほど〈同じ価値観〉を人間どうしが持ってしまって、異なる者は生き難い世界、〈人間水平化〉が完全に遂行されたのか?
こんなことを言ったって…