《ニューギニア島に住む極楽鳥は、はるか昔はカラスに似た地味な鳥だった。
だが、オスがメスの気を引くことだけに神経を使い続けた結果、いまのように華美な姿になった。
あるものは、身のたけの数倍の長さの羽を頭や尾から生やし、別のあるものは、わきの下から色鮮やかな羽毛を伸ばしている。
高い木の枝で、時には逆さにぶら下がったりしながら、羽を見せびらかすのがオスの仕事だ。
一年中、そればっかりやっている。飾り羽は、メスをたぶらかす以外、一切、何の役にも立たない。
進化の袋小路に迷いこんで、身動きがとれなくなった生物は、古来、少なくない。
特殊な能力を伸ばしてばかりいて、まっとうな方向を見失い、気がついた時には奇妙な恰好に成り果てている。
進化論の立場からすると、このような形態の変化は、将来性が見込めないばかりでなく、いずれ種を滅亡に導くとされている。》
昨日、「世界名画の旅5」(朝日新聞社)を読んでいたら、「ウッチェルロ」のページにこのような記述があった。
まっとうな方向を見失ったものは、いずれ滅亡する。
… つらいものだ。今の人類、か?