名古屋発の名鉄、特別快速。2列シート。
外はいい天気。車内はほどほどに混んでいる。
次の駅で空いた席。座る。窓際。陽射しが気持ちいい。
すると、隣りに、若そうなOL風の女性が座った。
窓からの陽射し。紫外線。女性にとっては、肌によくないかしらん。
「あの、閉めましょうか、カーテン…」思い切って訊く。
「あ、大丈夫です。ありがとうございます」と少し笑って、女性。小綺麗な化粧。電車は走る。
また眼をつぶる。陽射しが気持ちいい。
しばらくの後、「やっぱり閉めてもらえますか、眩しくなってきました」女性の声。
「あ、いいですよ」左右のカーテンを閉める。
「ありがとうございます」「いえ」
2列シートで隣り合わせで顔を見合って会話すると、至極接近の距離。
すこしの緊張。そのせいでもあるまいに、久し振りに過呼吸。
胸の中心が詰まって呼吸が困難になる。
新幹線にも乗った。3列シート。
窓際に座る中年男性。真ん中の席には、彼の荷物やジャンパー。
途中駅から乗ったぼくがその通路側に座る。
男性は、真ん中の荷物やジャンパーをどけようとした。
「あ、いいですよ」ぼくが少し笑って言う。
「あ、いい?」と真っ直ぐな眼をして、男性。
作業服のようなものを着ていた。
男性は、トイレに行く時ぼくの座る前を通る。
「すみません」といいながら、手で会釈をしながら。
ぼくも愛想よく、「いえ」
帰ってきた男性は、「ありがとう」と小声でいいながらぼくの前を通った。
また、「いえ」
それだけのこと。
しかし、こんなちょっとしたやりとりが、どうしてか、とっても嬉しい道中だった。