転んだ後も、杖を。

 この杖を、ずっと使ってきた。この杖に、導かれて歩いていた。
 転んだって、懲りないよ。この杖は、一緒に生きて来たんだから。
 何度転んだって、どうってことない。
 そのたびに、親しくなれる。
 転ばなかったら、わからなかったことも沢山ある。

 自分はこれからも転び続けるだろう。
 でも、この杖は捨てないよ。
 そのたびに、仲良くなれるから。
 何物にも、代え難いものだから。

 自分の体験。自分だけの、転び。
 歩けたから、転べた。
 だからまた歩ける。
 自分自身に導かれて。
 生まれてから、ずっとある、自分の杖。いや、杖の自分、かな。

 それにしても、世の中、変になっちゃったねえ。
 どんどん買え買え、とか。経済を回せ、とか。
 パソコンも、ビル・ゲイツの言いなりだし

 一生、大切にしたくても、「新しいの買え。もうそれは使えないよ」って言ってくる。
 ケータイ、iPhone、スマホ、トホホ。
 いつのまにか、人間、コンピューターに占領されちゃったね。

 この杖くらい、大事にしたいよね
 一生、死ぬまで使ってやるんだ
 僕の信じた相棒 単なる棒だけど
 死ぬまで使い続けてやるのさ

 モノを大切にしない世界で
 ヒトを大切になんかできないし
 まず自分を。
 まず、自分を。