時代

 いつの時代も、イイ時代なんて無いものだ。
「江戸時代に生まれたかった」「戦争に行って、国のために死にたかった」「全共闘運動して、革命を起こしたかった」
 そんなこと言ったって、江戸も大変だったろうし、戦争なんて言語道断、全共闘が果たして何だったのかも分からない。

 現代を憂い、なんだか「昔は良かった(だろう)」的思考。
 いつ生まれたって、あなたはあなたなんだから、変わらないよ、と思ってきたけれど、どうも現代は、ほんとに憂いの時代のような気がする。

 数学者の土師政雄さんは、「世の中、どんどん悪くなってるね。前はね、こういうふうに進んでいくんだろうな、っていう、先が見えたんだけど、今は、先が見えないんだよね」と言っていた。20年前、ぼくは、ああ、そうなんだぁ、という感じでその言葉を聞いていた。

 瀬戸内寂聴さんは、「まだ戦争してた頃のほうが、なんだか希望がありましたよ、政治に騙されていてもね、今はかつてない最悪の時代ね」とテレビで言っていた。

 来るところまで来ちゃったのかな。よく分からないけれど。