一つのことに執着しないこと。
それが自分を悩ますのであれば。

心も、心臓肝臓膵臓、臓物と同じく、この身に備わった臓器である、とブッダは言った。

たとえば腰が痛いとする。《私》は腰にばかり執着を始める。そこが痛いので。
でも腰も、この身に備わった部位の一つにすぎない。その痛みは腰だけど、その腰は背、首、頭、かかと、爪先まで繋がっている。
その一箇所の腰にばかり捉われていると、痛みも大きくなってしまう。
もっと大きな目で、視野で、この身を見る必要がある。

捉われるな、ということだ。

人体は面白い。胃、腸、肺… すべての臓器が一つ一つ、役割を果たしながら、繋がっている。
それは宇宙のような、この地球上の世界のすべてのような。
ひとり、たったひとりの身体でさえ、そうなのだ。

よく観じよう。

腰痛、たしかに痛いのはイヤだ。痛いんだから、注意も腰へ行く。
でも、他の、頭のてっぺんからカカトの先まで繋がっていること、その全体へも注意を向ける、いい機会だ。