なぜかラヴェルのボレロが頭に浮かんだ。
村上春樹が小説か何かで「おしっこが永遠に出るような」(もっと品のある表現だった気もするが)といっていた曲。「この曲を聴きながらトイレに行くと」という前提だった。
いつかの年末、大晦日にNHKのニューイヤーコンサートをテレビで見て、妙に感動したのがこの曲だった。
子どもの頃、この曲を聴きながら眠ってしまって、不思議な夢を見た記憶も蘇る。
そう、学校の校舎で、みんなが「こっちへ来い、こっちへ来い」と言っている。私は校門の所に一人でいた。曇り空には、爆撃機が低空飛行している。
このままでは危ない。私は意を決して、校庭へ走り出した。だが、落とし穴があった!
私は暗い、産道のような穴に落ち込んで、みるみるうちに胎児へ、あのソラマメみたいな頭だけの大きい、母の胎内にいる胎児へ退行したのだった。
そこで目が覚めた。
まだ、ボレロのレコードは回り続けて、聞こえてきた。
何ということもない、ただの繰り返しの曲のように聞こえる。
しかし、この最後に向かう時の異様な盛り上がり、気持ちを高揚させるような何かは何だ?