心掛け

 ところで、しかし、心掛けというのは、大事であると思う。
 私が日頃心掛けている行ないは、「次の人を考える」ということ。
 たとえばトイレを使う時は、トイレットペーパーを引き出し易いように、ちょうどいい頃合いに伸ばしておく。公共の場でも家でもそうする。
 風呂に入ったなら、次に入る家人がちょうど良い湯加減であるよう、ベストコンディションにしておく。

 冷蔵庫でも、味噌はここ、ヨーグルト、納豆はここ、と、ある位置を絶対的に決める。その方が自分も悩まなくて済むし、開けっ放しで探さなくて済む。牛乳も、3本位あった場合、消費期限が書いてある方を前に向けて置く。

 主夫としての私は、掃除・料理はそれなりにこなしていると思うが、Tシャツ等の衣類の収納に弱い。どうしてもうまくたためない。大体、ハンガーラックに主たるものは掛け、衣装ケースの中はざっくばらんである。

 前回、ケガをする家人のことを書いたが、彼女はかなり男まさりの人なので、あまり細かいことは気にしない。もしかしたら、心掛けが、細かいところに気を遣るものであるとしたら、ケガが多い運命と無関係でないかもしれない。そのために、電柱にぶつかったり、ひとりで転がってしまうのかもしれない。

 小心者の私が心掛けることとしては、「モノの気持ちになる」ことが言える。蛍光灯を取り替える時など、椅子を使ってもいいのに、折りたたみ式の踏み台を持って来て使う。でないと、踏み台の立場がないように思えるからだ。
 先日、ホットケーキを等分する際に、ナイフでなく、しゃもじを使ってしまった時、ホットケーキの「え~っ、それで切る!?」という悲鳴が聞こえた。

 心掛けとは、いろんなものに心を掛けることのように思う。それで、見返りなどは求めない。基本的に気の弱い、臆病な性質のなせるわざだ。