ぼくの唯一の友達… 彼は、絵描きである。
きれいな絵、ただの綺麗な絵を描く人ではないと思う。そんな、ただの絵、上手いですね、というような絵なら、きっと誰でも描ける。
そんな絵は、ぼくもつまらない。
「何か言っている絵」は、なかなか描けないと思う。ぼくは、黙っているけれど何か言っている絵が好きだ。
絵は不思議だ。人、と同じかもしれない。
誰でも描けるような絵でありながら、誰にも描けない絵。そんな絵が好きだ。
しかしこの友達とは、まだ10年ぐらいのつきあいか。
たぶん、ぼくも何か文で表現しようとし、彼は絵で表現しようとし、そこら辺りの動きが、… きっと尽きないのだ。
彼は彼である以上、ぼくはぼくである以上、接点がある。
一般的な世間話のような話はしない。エッチな話もしない。
だいたい、ぼくのツレアイと三人で会うことが多い。個人的な話──そこに終始しているように思う。
「一般」と言ったって、それを消化するのは個人なのだから、一般的な話も個人的といえば個人的だろう。だが、あまりにも「一般」にしなだれかかるようなことはしない。それを受けとめる、見る、自己に重きを置く。
ぼくより一回り年長だから、長生きしてほしい。あなたには、生きなければならぬ責務がある。(?)
あなたが死んだら、私の、友達と呼べる人は一人もいなくなる。
それに、ねえ。
まあ、また。なんだかんだ、ほんとに会えることが嬉しいよ。