よく風邪をひく体質なので、そのたびに葛根湯のお世話になった。しかも、早めに。頭痛になれば、バファリンを飲んだ。
サプリメントとしてはチョコラBBをよく。近年では、眼に良いとされる「やつめホルゲン」を。
だが、どうもこの頃は、これらのものを摂取しなくなった。したくない、「飲みたくない」と身体が小さく、でも確かに、訴えてくるようになった。
その訴えは、以前から微弱にあったものだ。だが私は、その訴えを頭から退けてきた。頭痛も悪寒も、あまり気持ちのいいものではなかったからだ。
習慣もあった。頭痛にはバファリン。風邪には早めの葛根湯。実際、効いたような気もする。飲ませていたのは私の「不安」で、こんな体調では仕事に差し障る、また、やはり頭痛や悪寒が不快であることが挙げられる。
だがもうこの頃は、仕事に差し障ってもよい、不快であってもよい、と思うようになった。
このままに。このままで、時間が経てばどうにかなるだろう、と思うようになった。
一昨日、二日間に渡る頭痛の間、私は寝床でうんうん唸っていた。唸ることで、痛みも数mm、コンマ何mm、軽くなる気がした。息を吸い、吐く時に唸るのだ。
この吸い、吐くの連続の間に、時間が過ぎた。やがて私は眠ったようだった。雨の音さえ気づかずに。
翌朝も頭痛は続いた。だが、もう私は唸っていなかった。唸ることにも、飽きたらしい。
で、これも習慣のように(習慣そのものだが)アイスコーヒーをつくり、タバコを片手にパソコンに向かい、何か書いていた。すると、疼いていた頭、痛かった頭が、確かに軽くなった気がした。
ああ、これでいいんだと思った。
食欲はない。食べたい物もない。腹が減れば、小さな茶碗でご飯を少量、頂く。味噌汁や、お漬物なども。以前に比べれば、まったく少食になった。
べつに、食欲など、なくてもいいではないか。むしろ、今まで、食べ過ぎていたのではないかと思うようになった。
お酒も飲みたくないし、水、おいしい水があれば、それでいいと思うようになった。
思えるようになった。
このままに。そのままで。この身体の「変調」は、ありがたいと思う。まったく、身体からは、気づかされる、導かれることが実に多い。
たいしたものだと思う。生かされているなぁ、と。