生かすもの、殺すもの

 気持ち、心によって人が人に殺意を抱き、自分までも殺しかねず、他も自も苦しめる結果になるとするならば、その精神… 心・気持ちとやらを何とかしようじゃないか、というのが私の小さな希望だ。
 その希望にしても、他に求めるのでなく、自をどうにかしようという… だって他の精神などに私が影響をまるごと与え得るはずもないからだ… 及ぼせるのはきっかけにすぎない、その人が自の精神をどうにかしよう、自分にしかそれはほんとうにはできないことなんだと、ほんとうに気づくまで、まわりはそのきっかけをつくる存在にすぎない、すべての存在がそうなんだ。
 こいつを変えようとか、思いのままに、こちらの意のままにこいつをしてやろうなど、それこそとんでもないユートピア、池の中の小島みたいな、とってつけたユートピア、自分だけのユートピア、実現不可の、自分の思いに凝り固まったろくでもないユートピアなんだ。それを実現させようとして、一人一人がそうやって、諍いが生まれる── 今までもそうで、これからもそうだ。
 ずっと繰り返す? このままじゃ、繰り返すだろうよ… 何しろ慣れてしまったんだから。その慣れを変えるのもで… 他ではないんだな。
 単純と複雑のカオスだ、このは。だけなら単純なものだ… それがを巻き込むことによって複雑化する… 巻き込むのはにほかならない…
 が巻き込んだとしても、それはそのの自己なんだから。
 誰にだってがある。これを何とかしようとするもの、されたいものもにほかならず。
 このをつくるものは、やんごとなき、ああ、精神とか心とか気持ちってやつにほかならず。