不安

 まったく、疲れの取れない身体になってしまったよ。
 こないだ東京から帰ってきて、いまだに…
 これが老いだとしたら、もう回復することはない、きのうの疲れをずっと引きずって生きてくことになる… あしたも、あしたも、あしたも。
 たまらんね!
 寂聴さんが、トシをとると反応が出るのが遅くなって、転んで骨折した痛みが一ヵ月後に出てきた、と笑って言っていたが。蓄積された疲弊が覆い尽すようだ、まんべんなく、新陳代謝を… 疲れが取れないのもおんなじようなもんだ、老いは身体を鈍化させる。
 こいつはなぐさめのようなもんかもしれん、いつまでもピンピンしてたら大変だ、どっちに転んだところで大変だ、今ここに在るということ、これについては老いも若きも同じこった、ただ細胞の生まれ代わりが遅くなったのさ、疲れが取れない…
 背負うまでもない、その背じたいが負っているのさ! 老朽化した建造物。
 この体験だけが新しい!
 朝は自動的に早く目覚め… いくら寝たって疲れは取れない…
 いつだって、何歳だって、新しい経験だ。身をもって体験する。素敵なことだ、これは!
 このままずっと? もう元に戻ることはなく? おい、その元は、何だったのかね。
 その時期、その時期で、体験することを体験しているのだよ! その時でしか体験できないことを。
 こいつはそんな悪いことじゃないぞ… これが悪かったら、ぜんぶ悪いことになる! 人生そんな悪いもんじゃない… いいもんでもないけど…
 とりあえず、いいぞ。こんなことを書いていて、俺が元気になる! 書くまでは、げんなりしてたんだ…