「キリスト教の修練」

 わかった、なぜキルケゴールが婚約破棄をしたのか。
 なぜあんなに愛したレギーネと結ばれようとしなかったのか。
 「キリスト教の修練」を読んでいる、これは「瞬間」より解り易い…
 やはりほんとうに愛したかったんだ。
 ほんとうのキリスト者になること(ほんとうの人間になること)と、レギーネへの愛… 全く、通じてる、一本の、確かな線、道になってる。
「ほんとう」というものは一人一人の内面性の中にしかあり得ない。
 キルケゴールはほんとうにレギーネを愛していた。
 ほんとうのキリスト者、ほんとうの人間、ほんとうの、と同じように(同じように、には、ほんとうにはない)、愛したかった、愛そうとして、ほんとうに。
 生きざま、生き方そのものだったんじゃないか、彼の書いたもの、内面性、単独者…
 苦しむこと、苦難を、ほんとうに生きることとして生きた、死ぬまでほんとうに生きた、嘘偽りなく、欺瞞なく、生きた、救われようとせず、ほんとうのキリスト者、ほんとうに生きようとして生きたんじゃないか。

第2話 レギーネ(1)|かめ
三年前、きみは熱烈な恋をしていたね。  きみは一方的に熱を上げ、その熱を技巧をもって冷ますように、たくさんの手紙を書いて。既に婚約者もいた彼女の心を射抜いてしまった。  婚約指輪も交わし、あとは婚礼の...