また妙な話で恐縮、でも今一番気になっている事なので。一昨日の夜(日付が変わって昨夜)、ちとコワイ思いをしたので昨夜(日付変わった丑三つ時)はかなりコワカッタ。
一応盛り塩(小皿に塩を富士山みたいに盛った)をして、音のする襖の下(廊下側の)に置いてみた。午後十時、もう寝ようと電気を消したらまた廊下から襖に風が当たるような音が。ボン、とした。
おわ~と思い、電気をつける。しばらく襖を見る。開ける勇気はない。外は風もなく、家中の窓は閉まってる。家鳴りは二階でよくするけれど、一階で、しかも一枚の襖だけ、あんな音がするって、やっぱりおかしいと思う。明らかにそれは風が廊下から来て当たる音だった。家中の窓を開けてこの部屋の襖を閉めている時、こういう音がするのはよく聞いていた。(押し入れの襖でなく、部屋の出入りに使う一枚の引き戸、でも襖の形をしていてどう見ても襖なので襖と記している)
この襖の向こう、廊下に一体何が? 電気をつけておくと音はしない。気持ちの問題? いや、いやいや! 昨夜の、この襖を開けようとするような音、明らかに廊下の向こうから、動くものが動いて、襖を開けようとしていた。あの音は夢でも何でもない、現実、飛び起きて覚醒してた、ハッキリ聞こえた、何か足音も聞こえた、動物、動く物が現実に動く。
イタチやハクビシンや小動物でなく。それらだったらどんなによかったか… そんな小動物が侵入してくる所も形跡もなかった。
理解できないものはほんとに怖い。人間の心はあるていど想像でき、理解はできないとしても、それを持つ人間そのものは目に見える。しかしこの「音」の発信者は目に見えない。とにかく誰もいないのに誰かがいる音がするのは困る。
電気をつけっぱなしで、いつのまにか寝てた。目が覚めたのは午前三時半。全身鳥肌になってトイレに行く。トイレはこの廊下をちょっと行った左側。ひとりで後ろを振り向き振り向き用を足す。無事部屋に戻って、布団の中でじっとする。窓(普通のサッシと障子戸から成る)が白々してくる。夜明け、ああ助かった。
しかし家人がいる時はこんな事はなかった。何かあるんだろうな…。明日彼女は帰って来る。「盛り塩」が効いたのか、ボン、の音しかしなかった。効いたと思いたい。こう書いてると「大丈夫か?」と自分でも思うが、あのガリガリ、襖を何かの手が開けようとしていたのは本当だし現実の物が、足音、動くものが動く音もはっきり聞いた。本当の本当、本当にはっきり、現実以外何でもなく。
何か訴えてきてるんだろうとは思う。気づいてほしい、という思いが、あの正体不明の音から伝わってくる。何を? 解らない。解らないもの、それはほんとに恐怖だ。
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「想像のなかに恐怖がある」とはよく言ったものだ、村上のハルキさんも「カエルくん、東京を救う」の短編に書いてた… フョードル・ドストエフスキーの引用をして!
解らないから想像し、それが恐怖や快楽を産み出す… 全ては想像! … だけならよかったが… 或る現実をきっかけに、そこから想像を始める… すじみちは一緒か。
モーパッサンもやたら超常現象を書いていた時期があった、あれは彼の体験? 想像にしても体験することになるとブッダは言ってた! 確かに、想像、不安も絶頂に達すれば気を失い、身体も倒れる。ゴルバチョフの奥さんは監禁された時一夜にして髪の毛が白髪になった… 気持ちの身体に及ぼす恐るべき影響!
恐るべき? そうか、恐るべきは影響、影響、ということは、あんな怖い体験をしてもそれをそれ以上にしない、それ以上身体に影響を与えないようにする、これが肝心か。
もう過ぎたこと、過ぎつつあることとして。忘れることはできないとしても、ああいうことがあったと、それだけのものとして、それ以上の影響を自身に与えない! もっとも、そうしないといつまでも不安なまま、読書するにしても集中できない。突然の音はほんとにびっくりしたが、また来るかまた来るかと警戒したところで! 立ち直るにはも少し時間が必要か、一週間… 二週間…
常識的に考えたら全くおかしな話だが、こりゃもう仕方ない、ほんとにあったんだから。
しかし「相手」は何を求めて? この部屋に入りたかった? 今夜は別の部屋で寝てみよう。
まさかこんなことを書く破目になるとは思わなかった。あの「ガリガリ」は、あの手の動き、爪の音指の音… 思い出すとゾッとする。