愛する人へ

 元気かな。

「荘子」読んだ?

 でもホントに疲れてる時、本なんか読めないよね。生きてるだけ、やることをやるだけで、もう精一杯だよね。

「荘子」を読むと大きな気持ちになれて、僕はとても気持ちが良かった。

 自分の言いたいことを、代弁してくれる気にもなった。

 小さなことなんだ、この世で起こっていることなんて、小さな小さなことなんだって。

 ここに存在していることも、小さな小さなことなんだって。

 だから自分を楽しもう、のんびり、といっても短い小さな時間だ、でも大きなものに包まれている、大きな大きな、人智なんか及びもつかないものに包まれ、生かされている── この「今」を楽しもう、みたいな気にさせられて。

 2000年前も3000年前も、人間、たいして変わっちゃいないんだな、って思い知らされる思いがしたよ。ほんと、変わんないんだよ、人間って。

 だから、何のために生きてるんだろう、同じようなことを同じように繰り返し、一体この繰り返しは何のために繰り返されているんだろう、って考えてしまう。

 たいした存在じゃないんだけど、たいしたようなことを考えてしまう。

 とにかく元気…これも、元気がイイ、って感じだけど、べつに落ち込んでたっていい… 言ってしまえば、生きててくれてるだけでいい。いつか、死ぬんだけどね。

 まぁ、読める時に読んでみて。やっぱり「世界の名著」の「老子荘子」、その森三樹三郎の解説や訳が、いいなぁと思う。

 じゃね!