スナックが、ニガテ。

 なんとなく親しくなった人と、たまに飲みに出かける。
 去年、おととしか。「スナック」にデビューしたのは。

 職場の上司(けっこうだらしない人だったから、安心してつきあえた)の行きつけの店。
 どこのスナックもそうみたいだが、主にカウンターが舞台である。

 カウンター越しに、ママさんやら若いおネエちゃんがいる。
 で、ただ話をする。
 私はカウンターに座って(カウンターには座れないナ、カウンターの店内側にある椅子に座って)サムライになっていた。
 ふだんはもちろんエッチな話、男どうしですから、します。

 でも、上司がエッチな話をして私に振ってきても、私はあまり乗らず、やはりサムライを続けていた。
 だって、女性がいるのですよ、そんな話、できますか。
 酔いのせいではなく、顔を私は赤くしていた。

 思えば、けっこうウブなようである。
 35歳位まで、「セックスは結婚する相手とするもの」と信じていた。
 もちろん、こんな情報社会、遊びのセックスがあることくらいは知っていた。

 だが、ひとりの女性が、その私の信念を揺るがした。
 彼女とはチャンとした場所(どこかね)で知り合い、意気投合。
 じゃ、今度荻窪で会おうか、みたいな話になって、居酒屋で飲み、やはり意気投合。で、そのまま、どういうわけかラブホテルに行ったのだった。

 もう、私は、この人と結婚するしかないと思った。(正確には、私は再婚になりますが。)
 彼女には借金があるという。OK、私が全額払うくらい、働いてみせましょう。
 彼女は170センチ以上身長があった。
 私より背が高いけど、いいよナ、愛があれば。

 朝になり、ホテルを出て駅で別れる。
 その後、私は彼女に手紙を書いて送った。もちろんラブレターである。

 ところが。
 数日して来た返事の手紙には、「私は、あなたとセックスしたかっただけです。初めて会った時、そう思いました。だからもういいです。でも気持ちよかった」ということが書いてあったのだ。
 が ── ん!!!!

 でもね、そんな手紙もらって、爽快だったよ、ある意味。
 すごい!おみごと! おいらにゃ、マネできねー、っていうか、そういう人を知ったの、初めてだったんだよね、身をもって。
 で、終わったさ。

 話がそれた。
 スナックって、苦手なんだ、ということを書こうとしてたんだけど、なんかどうでもよくなっちゃった。(だって一体、何を話せばいいのよ? 初対面でさー)
 お酒、飲むと、まだコップに半分入っていても注いでくるし、何杯飲んだか分からなくなるじゃないか。
 しかしほんとにオトナっていうのは、何なんでしょうね…