試み

 そういえばきみは、セブンイレブンやスーパーマーケットで働いていた時、やたら客ウケが良かったね。特にスーパーでは、「ニコニコカード」といって、感じのいい店員に、客からポイントをもらうシステムがあった。1ポイント、500円だったっけ。きみ、けっこうもらってたね。上司からの評価も高かった… だがきみの気に入らぬ上司に当たって、きみは出社拒否に陥り、辞めてしまったんだっけ。

 遠い想い出だな。今や、ほとんど対人恐怖、そのくせ人と笑い合うのが好きな、単なる軽薄なお調子者にすぎなくなった。

 まあ、もともとその要素はあったけれどもね。

 加齢とともに、何か心細くなってきた、心細さが大きくなってきた感じだ。

 それも、もともとあったんだろうけれどもね、心細さは。

 ただ、その細さが、ほんとに細く、今のきみに感じられるようになった、というわけだろう。

 ボーフラだよ、ボーフラ。ボーフラって、孑孑、って書くんだよ。これほど、生物の形と文字が一致しているのもめずらしいね。ああ、こんな文字のように、自分というこの生物も形に表せたならばなぁ!

「愛してる」とか、きみ自身を表したものではないもんね。

 きみの一部、きみをつくる一つの素材、ほんの一部にすぎない…

 こんなに愛してるのになぁ。

 ほんとかい?

 試しだね、生きる、こいつは、試しだ。

 なにものかに、試されている気もする。

 ほんとうか、どうか。

 おまえは、ほんとうか、と。