両親が離婚して、子は結婚せず、親戚とも疎遠でいないに等しく── 母に育てられたが、その母亡き後、その子は「天涯孤独」になるのだろうか。
その子は、先のこと、将来のことを考えたら不安になるだろうか。そのために、パートナーを求め、いい人と知り合えたら一緒に暮らし、不安から逃れられるだろうか。
幸せな生活を誰かと一緒にしていたなら、その間は大丈夫かもしれない。
でもきっと先のこと、将来のことを考えたら不安になるだろう。
パートナーが先に死んでしまったら、結局同じことになるからだ。
友達がいたら、また違うだろうか。
「家族」と「友達」は、血縁の問題、一緒に暮らすかどうかの問題、それだけの違いなのだろうか。
そもそも、孤独とは何なのだろうか。
「ひとりじゃ淋しい」という人は多い。ぼくも、きっとそうだ。が、ひとりを謳歌するかのように、堂々とひとりで、シャンシャンしているご老人もいらっしゃる。すばらしいと思う。謳歌するとか、そんなことも考えていない。とにかく、しっかりしていらっしゃるのだ。
雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ
ではなく、
雨ハ降ル 風ハ吹ク
だ。
そのままを、そのままに受け止めていらっしゃる感じ。
それ以上のことも、それ以下のこともない。
そしてしっかり、社交儀礼というか、人をイヤな気持ちにさせないこともわきまえていて、それでいてまるで正直に、まっすぐ生きていらっしゃる。
ソンナ人ニ ナリタイ
… なれないかな。
孤独だなんて意識しないこと。こういうもんなんだ、と明らかに、あきらめること。さわやかに。しなやかに。でも、芯をもって。
然すれば、まったく孤独なんかこの世にない… かな。