「どうしようもないね」
「うん、どうしようもない」
「過去は戻らない」
「戻れない」
「一度起きた戦争は、なかなか止められないという。その通りになった」
「うん。起こすのは一瞬なのに、終えることができないとは」
「結局、生命、ということなんだろうね、問題は」
「生き、死ぬということ。これを、もっとみつめて、考えていかないと、未来永劫戦争はなくならない。ここで終わったと思えば、あっちで起きる。こっちで終わればそっちで起きる」
「生きていること、死ぬということ──」
「この生命ってのを」
「形に捉われず、無形のものを」
「よく、よく、みつめること」
「ここにあるんだよな。ここに」
「そこじゃなくて?」
「うん、そこにもあるよ。あっちにもある」