「ユリイカ」1994年10月号── 増頁特集セリーヌの世界、届いた。アマゾンで、2500円也。
人間について、「やつらは愚鈍だ」と彼は云う。
戦争も経験しているし、彼は論理的に、事実的に世界を見た。戦後も、自らの著書のために殺される体験もした。逃げなかったら、亡命しなかったら。
20世紀を代表する作家とは、誰が言い出したのか。
まだちゃんと読んでいないが、インタビューはざっと読んだ。
この人は、どこまでも事実、客観的な事実とそれを育む確固たる自己を持っていた… そんな空気をこの「ユリイカ」から感じた。確かなように、動かし難く。
人間はバカだ。劣悪だ。無能だ。すぐ忘れる。何も学習しない…
この人から感じるものは、ほんとう、ということだ。何も抗えない。こちらも、黙るしかない… セリーヌはほんとうのことを云っている。
「虫けらどもをひねりつぶせ」も(抄)として掲載されている。「なしくずしの死」を再読しているので、また「夜の果ての旅」も読み返したいのでしばらくこれは読まない。
しかし大体わかる。わかったと思う。
「この世にある真実は死だけだ」そんな言葉も見た。忍耐強い人だ。事実を、けっして否定しない人だ。受け容れる、受け止める、オトシマエのつけられる人だ。
ユリイカ── こんな文芸誌を買うことになるとは思わなかったが、確かに感受するものがある。ただここにあるだけで、生きる勇気のような… 見つめていく、視線を逸らさない勇気のようなものをもらう気がする。
まさかこのような作家とまた巡り合えるとは。
飛蚊症がうるさいが、そしてほんとうにちゃんと読めるのか、頭に入って来るのかどうか分からないが、とにかく読もう。カラマーゾフも…。