古代ギリシャではオリンピックなるものが行なわれ── 猛者たちが、腕自慢のなけなしの腕を競い合い── 果ては競技内で剣を持ち、殺し合うまでに《発展》した。
王様は特別席でその闘争を楽しんで観た、血のように赤いワインをすすって… スポーツなんて野蛮なものだ！ 運動、身体を鍛え、競い合う運動… 自分のため、健康のためどころの話でない… 現代でもスポーツ選手がよく怪我をしているね？ 身体によくない、不健康なんだよ、プロ・アマ問わず。スポーツの本質は野蛮なのだ。自分のためにやってりゃよかったのに、競い合い、勝つ、勝つ、勝つ！ 競い合う相手がいなけりゃ、目的も持てない！ 目標は結果だけ！ 本末転倒もいいところだ… しごき！ 苦しみを努力に置き換え！ サディストの指導者にマゾヒストの《向上心》あふれる下僕どもが望んでやって来る… one team、団結、自己犠牲… 一体、どこが身体に良いのかね、スポーツの？ 脳から快楽成分を分泌させ… 観る者にも、やってる当事者にも… 果ては骨折、ハムストリング断裂、肘の異形化、椎間板ヘルニア、トミージョン手術… プロだから仕方ない？ 金をもらってるんだから仕方ない？ 観る者・やる者はバカなのか？ 当世、スポーツ競技は人間をバカにさせるものだよ… 儲かるのはそれを開催する協会・団体、広告会社・代理店、あの４年前のトキオ・オリンピック、バッカ会長の金にまみれた肥溜めみたいな顔を忘れたかい？ 莫大な金が絡んで、政治も動かす！ 人間がスポーツに熱狂するからね！
冗談じゃない… バカにさせるためにあるんだよ、スポーツは！ 古代ギリシャの特別席が、《平民ども》に与えられたようなものだ…テレビ… パブリック・ビューイング… スポーツ・バー… 酒… ビール半額…
人間の心、欲求、野蛮、残酷性を高め… 熱狂し… 昂ぶる、荒ぶる心を利用し… 利用されて喜んで… バカになるために余念がない、《ストレス解消》の小道具は用意周到に整備され… 観客どもは《ひとつになって》応援、絶叫し… 束の間の興奮、脳の奴隷になって、利権者どもの奴隷になって… 束の間の非日常に熱狂する！
うまいことやる連中がいたものだ…… うまいことやられる連中がいたものだ……
お師匠さんの遺言記（２）
