老い(2)

 そして自殺、「このまま行けば迷惑が掛かるから」老いる前に自殺する人もいる、人間的に、あまりにも人間的に。鏡を見ては自分を情けなく思い、沈殿する… 鏡と時計をなくせ!
 想像の海は沼になり… 沈んで行くのは自分だけ! 思い込める自由の女神! そっちへ行くのか、あっちにも行けたのに!
 まわりに迷惑が掛かる… 自分が惨めな姿になって行く… なんと人間的な理由! 自分を殺すための想像力… 生かす方へも行けたはずだのに!
 見えないものさえ見えるようになる… 頭の中が現実に! 視覚神経が脳髄と一致して… ひとりぽっちの一致!
 まわりはそんなこと思っていなかった… どこまでも想像力の跳躍… 飛び、跳ね、その通り、マンションの九階へ、そこから!
 想像が人を殺す、想像で世界が!
 どこまでもひとりぽっちの世界だ、ひとりから始まってひとりで終わる… 生も死も、関係も、笑いも涙も、朝も夜も… 自分と自分との関係なんだ、まわりは単なるきっかけの一つにすぎず! 単を複に変え、無尽の不安に陥れるものは。
 自己と自己の間にある底なしの谷間、下を見れば吸い込まれそうになる!
 あるから見えるんだ、ほかの人には見えなくても。現実はつくられる!
 現実はつくられる… つくれるんだ、世界は。
 どんなふうにでも明け暮れて、穏やかに、平和に… 笑って!