おいおい、なんとデスペレート、こんなの誰も求めてない。笑いたいんだよ、こっちは、癒されたいんだほっこりしたいんだ。現実だけでも厳しいんだ、もっと晴れやかな気分になれるものを、物語を…
 求められていないものを書くな! 需要があって初めて価値があるだろう? ひとりで何喋ってんだぐだぐだぐだぐだ。
 お前は必要とされない! お前のお喋りは憂鬱にさせる、聞きたくもないわ…
 ただでさえ蒸し暑い、酷い暑さ! すっきりさっぱりすることを話してくれよ!
 うーん! 人がほんとに絶望してる時は励まされるなんてイヤなもんだ。暗い気分だから明るくなりたいなら、他を当たりな。そんな物語、腐るほど! ニーズにばっかり応えようとするから同じようなもんばかりになる… 異質になろうとしてなってるわけでもないが!

 なろう小説家にでもなれよ、どうせなら。異世界転生だ、いいぞ、ファンタジー。SNSでさんざPRし! でなきゃあなんで書いてんだ、読まれるためだろうに?
 読まれるかどうかなんてこっちでどうこうできるもんじゃない… こっちはこんなだって結果的に判断されるだけさ、好みの問題、言葉の羅列と個々の人間との出会い系、こっちは書けることを書くだけ。あんまり信用してないんだ、機械、メカニックなものは… 数も。
 信じられるものって何だろね?
 特に何も… 信じるってことがまず、ね。信じられないものが多いと、信じたくなるものだ、信じられないものでも!
 論理、公式、こうなってるからこうなんだ… 理詰め、完璧な説得力をもってしても、わけのわからんもんを信じたくなる、「?」を求めるんだ、「!」も。
 文字も記号だ、われわれは記号で話してんだ… どれも比喩だ、例、サンプル… そのものを言い表わすことはできないんだ。
 近づくだけで精一杯。いいじゃないか、それで。
 何でもそうさ、そのものには! 愛があろうが無関心があろうが、そのものには!