おそらくセリーヌはせいいっぱいの問題提起をしたのだろう。
歴史書(彼はもともと歴史と哲学の本が好きだったらしい)、いろんな書物、戦争、社会・世界、人間についてのを読み漁り、われわれに考えてほしかったのだろう… 人間としての個人として、個人としての人類として!
「わたしが死んだ後も、この本を読む人のために」。それが世界的に禁書だ。
日本で翻訳され、読むことができて… そして絶望する。
だが椎名麟三が云ってくれたように、絶望の中にこそ希望があるのだ。いや云ってはいない、こっちでかってにそう解釈した… 各人、ひとりひとりの中で、つくってく…
ノーテンキな明るさ、盲目の前向き、暗愚な希望ではない。しっかりしたライト、のぞみ… 足を地に着けた、線路でない…
ちなみに、前話で挙げた演説を文書化した二人は、いずれも暗殺されているのだそうだ。
こんな世に、一体どんな希望があるだろう? セリーヌは精一杯の問題提起をした!
あとはこっちで考える。
考えたって、どうにもならない? だからこそ考えるんだ、馬鹿野郎。
何も考えてないに等しいとしても! そんなことを考えることは。