雨。
参ったなあ、と思いつつ、銭湯軒先で雨宿り。と、「乗ってきますか」と軽自動車から知らない声。
えっ、いいんですか。乗らせていただく。こういうことは初めてだ。
ありがとうございます。
いや、せっかく暖まったのに濡れちゃあねえ、みたいに助手席の奥さん。
いつもいるよなあ、よく湯当たりしない、強いよなあ、と旦那さん。
さて、私の家。けっこう遠い。
歩いて来てるの? ずいぶんかかるでしょう。
ええ、ぼく腰痛持ちで…整体師から歩くといいって言われて、歩くようにしてるんです。
整体?(笑)うちも、整体屋やねん。
えっ、そうだったんですか(!)
旦那さん、4、50歳か、運転しながら、こういう姿勢をとるといいとか、手術は絶対しちゃダメだよとか、あれこれ教えてくれる。隣り町から来ているそうで、ホームページとかは持っていないそうだ。
何とお礼をいっていいか…ほんとにありがとうございます。
いや、また会うやろ。
眼鏡かけてないと全く見えないので、声かけて下さい。
あ、見えないんだ。ええなあ、見えないって(笑)
雨はどしゃ降りで、送ってもらえなかったら大変だった。
しかしこれ、もしコンビニなんかの軒先だったら、こんな親切にもあわなかったろう。
銭湯という、みんな裸で同じ湯に浸かる、一種特別な場所だからの話のような。
その夜は嬉しさに興奮して、寝つけなかったのはいうまでもない。