身体にしたがって

 何も書かず、投稿しようとせず── サイトというサイトを完全に内側でシャットアウトし! 本を開き、読んだ時! なんと身体が喜んだろう…
 見なければいいんだ。それで事足りる。数のオバケには目をくれない! そこで蠢くヒト… 人なのか? ほんとに… ヒトには、そっちの世界。勝手にそっちで喜んでりゃいい。そこに何の疑問も抱かず、振り捨てて! こっちにはこっちの、これでも世界があるんだ。

 あそこに何の邪気も感じないとは… 無邪気はいいな、羨ましい。泳げる人が羨ましい。こっちは陸に上がるよ… この身体が、あっちの水は飲めないってさ。申し訳ないが、汚い水に感じられて… 口にふくむ… 耐えられん!

 狂ったような世界だ、こっちもおかしいが、まだ息が吸える。まだ苦しくない… あとは自分の問題だ、いつものように! 見ないぞ、もう、ぎゅうぎゅうに詰められた、あっちのおかしな水の混濁さ、何かヤバそうなものに、こっちは泳がされないぞ。元から泳げん、こうなるのは必定!
 よく泳げるな、しかし… 多くの人が。信じられん… あきれた。
 ヤバいよ、SNSは! 今更に。

 見なきゃいいんだ、見なきゃ。ついコメントなんかあると、返信しちまう。しかも喜んで! そりゃ嬉しいさ、しかし違う! 求めてんのはそれじゃない… あっちの求めとこっちの求めは一致しない! こっちは泳げない、ヒレがないんだ! そうじゃない、そうじゃない… 生態が違うんだよ、こっちは飛べない鳥だ、そっちはすいすい泳いでるペンギンだ、可愛い可愛いペンペンだ… あの水槽の中を自由自在!
 マイリマシタ。
 こっちの身体が喜んだ、チョコンと付いてる頭でなくて、その下の身体が! この身体が喜んだ… あの瞬間のことをこっちは忘れない。たいせつだな、と思った、身体が感じた後で、頭が!
 こっちのことをだいじにするんだ、こっちのことを。そっちじゃなくて!