そしてきみは疲れる。
結局、心細くなる。独りを、心から喜べなくなる。
疲れたら── 月の光を浴びよう。
月の光に、心身を洗おう。
向こうで、太陽が嫉妬する。
「あいつはまわりに迎合しない、酷いやつだ。おれはこんなに燃えたぎり、まわりを輝かせてやっているのに。あいつは冷たい、冷淡なやつだ」
月が言う。
いつのまに、おまえは自分を「まわりを生かし、輝かす、偉大なもの」と誤解したのかね。
取って付けたような商札を、自分の首に付けたのかね。
もともと、おまえは輝いていたではないか。
わたしが浮いていたように、おまえもただ浮いていただけではないか。
あらゆる存在が、ひとつひとつなのだよ。
おまえも、わたしも、星、ひとつひとつが、そのままで、それでよかったのだよ。
ワレニ・カエレ。
わたしが死んでも、帰るところがある。わたしは、生まれたところへ帰るのだ。
大いなる宇宙の藻屑となることに、何の不満もないよ。
おまえも、いつか死ぬ。
自分は偉大だの、他者の役に立っただの、小さなことに満足するなよ。
存在するだけでいいんだよ。不在も、存在も、同じことだ。
── 月が太陽に言う。
窓辺から、月が人を照らす、
照らされた人は、月に自分を照らす。