戦争について考える(1)

 支配欲=自己顕示欲。権力志向=自己誇示=自分を認めろ=自己承認願望。

 去年の二月、三月だったか、まさかの戦争が起こって、なんでこんな野蛮なことが、どうしてまた戦争が、と考えた。

 自分なりに行き着いたのは、これらの欲、この自分にもある、これらの欲望… 心みたいなところにある、奇妙な、そしてまるであるのが当然そうな、「ここにいて何が悪い?」とでも言いたげに、ふてぶてしく横になって頭をもたげる欲望だった。

 もう、植わっていた、この自己の中に。

 ぼくは、かの大統領、戦争を始めたような人を、だから悪人と捉えることができなかった。

 ああ、また戦争が繰り返されるんだと思った。「あいつが悪い」そんなもんじゃなくて、「どうして人間は」となった。

 結局、欲。ちょっと考えれば、誰でもそう言える。自分の場合、だいぶ考えて、そう言えた。

 この考えにたどり着くまでの行程。まず戦争はいけない、という大前提が自分にあった。それから、どうして起きる、起こすのか、に行った。それから、どうしたら起こさず、もう戦争が起きない世界になるだろう、と考えた。

 これらは、ほぼ同時進行して、考える歩調だった。

 それを言葉にする時、時系列順に、なるべく整理しながら、考えた。

 結局、欲。我欲、自分の思う通りに人を、世界を動かしたい。自分の思い通りにならないとイヤだ。

 そんな子どもみたいな、ダダッ子みたいなシンプルな欲。

 ああ、自分にもある、と思った。