虫の息

 鳴いている。
 他に、やるべきことがない。
 私はこの季節に、ただ鳴くだけ。
 春と冬も知らない。
 この季節が、私のぜんぶで。

 ヒトの一生も、こんなものではないのか。
 過去や未来があったとして
 それが何だというのかな。

 私は鳴くことしかできない。
 それしか知らないから、そうしている。
 いや、知ってもいない。
 どうしたわけか、羽根をすり合わせて
 鳴いているという意識もない

 これが私の一生で
 何ということもない。
 ただこうなっているので
 こうしているだけで。

 なんでこうなっているのか、
 私は知ろうとも思わない。