ふたり

神は善で、悪魔は悪。人間がつくった、心の尺度。

でも、外に出さねばならなかった。夫々の人の、内にあるだけでは済まされなかった。

人は神をつくり、悪魔を創造した。神はヒトガタに、悪魔はバケモノ風に。

神を崇め、悪魔を蔑んだ。「善」をそのまま善とし、「悪」をそのまま悪とせず、わざわざご苦労様に、鋳型に収めた。

その「型」に向かって、あたかも裁きを乞う。

自分で判断せず、「神」に判断を委ね、自分では何もしようとせず、しないことを「神」に委ねる。やたら小綺麗な建物を建て、さも厳かに、「祈り」などといって、いない神に自分を委ねる。

幸せな人間たちだ! もし神がいるなら、困った顔で哀れむだろう。

わたしゃ、身ひとつだよ。こんないっぱい、頼まれても困るよ。

悪魔がそばで微笑む。まったく、何かにすがらないと、生きて行けないのかね、こいつらは。

やさしい悪魔は、神にやさしく寄り添い、その痩せた肩を抱きしめた。