関係はきっかけ

 永遠の生命があてがわれて、それでイキイキと生きることができるかといえば、できないだろう。
 それは、欲望の上にのみ成就する夢。
 あり得ないこととして、その場限りの慰安のための、夢の中で微睡むことのできる自由を与えられた、憩いのとき。

 永遠を願う心は、まぼろし。
 永遠とは、変わらぬものではなく、変わりながら、つづくこと。
 変わり続けていく ── 自己、他者、関係が。

 死が、生の対極にあるなら、よく死ぬことが、よく生きることになる。
 よく生を見、感じ、考えることができる。

 恋とか愛も、終わりがあるから、きっと、いい。
 だからホントウに愛せる気がする。
 あるいは、変わってく関係。それでも続いてく関係。

 人との関係は、「ひとりひとりに備えられた、もともとあった自分を想起するためにある」と、ソクラテスは云った。
 すべては、自己自身、つまり、いのちを知るためのきっかけとして、存在する、と。
 きっかけ以上のものには、なりえない、と。