── あ、どうも。いらっしゃいませ。
まず、あなたご自身のことから、診断させて頂きます。
おや、あなたは、仕事ができますね。その場を盛り上げて、まわりを引きずり込む。
まわりがムリして笑わないとイケナイ、そんな状況をつくる能力に長けています。
だから、惰性で動く疲れた会社では、リーダー格の地位になれるでしょう。
あなたは明るく、いつも笑顔だ。でも、その眼は妙に冷たいですな。全然やさしくない。
あなたは、見せかけのために、見せかけとして生きてきた。
仕方ないですな。あなたのパートナーも同類のたぐいになります。
思慮深い、奥ゆかしい人とは無縁です。
見かけ倒し、中身は空っぽ、自身の欠点にさえ気づかない、そんなパートナーを得て、お互い、勢いだけで生きるんで、けっこう、うまく行きます。
ええ、お子さんにも恵まれますよ。
どこまでも、何も考えない、考えることを排斥する御家庭がつくられます。
それがあなた方の幸せの形です。いいんじゃないでしょうか。
── はい、いらっしゃい。
あ、あなたはまた、ずいぶん真っ直ぐな方ですな。さっきの客とはえらい違いだ。
曲がったことが嫌いで、流されない。お金や地位より、善、正義、信念を貫くわけですな。
ええ、おりますとも、ピッタリの方が。
しかし、その方も真っ直ぐなベクトルを持ってますから、矢の先がぐるっと回って戻って行く、自己完結型です。
ふたり、ひとりひとりで自殺する可能性がありますね。
いいんじゃないでしょうか。こだわりを持って、自分のために死んでいく。
中身があろうがなかろうが、みんな見紛うことなく死ぬわけですから、まぁ死ぬまで、一生懸命、生きることですよ。
空虚になるのも、満たされるのも、繰り返すのは同じですから。
あなたも、パートナーとなる人も、ひとりひとりであることを分かっていらっしゃる。
甘い夢や共同幻想はシャット・ダウン。自分の道を、それぞれに行って下さい。
── ええ、どんなタイプの人にも、相性バッチリのパートナーが存在します。
キリがないですよ、星の数ほど、くっつく衛星も存在するんですから。
おたがい、引力で引かれ合って、月と地球のように離れられなくなるんです。
問題は、死んだ後のことを考える時ですね。
「死んだ後も、こいつと一緒にいたい！」ふたり、そう思えたら本物です。
でも、なかなかそう思わないんですよ。
まったく別の人生を、別の人と歩みたい、なんて、けっこう、人、夢想しちゃうんですね。
あきらめることも肝心です。
あきらめるって、「明らめる」ことなんです。明らかにするんです。
死後のことを考えることは、今、生きてる自分を明らかにします。
ぶっちゃけて言いますと、ほんとは相性なんて無いんですよ。
人間界における相手との関係は、相手と関係をもった自分、その「自分と自分」との関係です。
相性の良し悪しなんか、存在しないんです。頭で考えちゃうだけなんですね。
この世の人間関係、問題なんて何もないんです。無。ナシ。nothing。
あなたが、まず幸せになって下さい。あなたの中に、既に素晴らしいパートナーがいるんですよ！
では、どうぞ、お幸せに。