恋愛のイイところは

 想像力を飛ばせることにあるだろう。
 今度のディトでは、あそこのお店に行こうとか、カラオケであの歌を歌おうとか、この洋服を着て行こう、とか。

 その基本は、胸のトキメキである。
 トキメかないと、ダメだ。
 その後、肝心な想像力。
 そしてその想像をしている時の自分は、ひとりぽっちなのだ。

 想像するということが、エロスの本質でもあるけれど、それはだいじなことである。

 うちなんか、もう5年くらいのセックスレスだけど、それを誰かに言うと、「何のために一緒にいるの?」と訊かれたりする。女の人さえ、そう言う。

「エッ。セックスするために、一緒に暮らすんですか」と、ぼくは驚嘆のうちに、問いたくなる。

 プラトニックが、基本であると思う。ぼくが本気で最初に異性を好きになった時、それは精神が基本だったと思う。
 それは今も変わりない。

 セックスとか手をつないで歩くとか抱きしめるとかは、その気持ちの発露としてあるに過ぎない。

 ぼくとしては毎日のセックスも可能だが、それでは想像力も飛ばせられないし、「つかず・はなれず」を理想のようにしている以上、「つき過ぎる」のは考えてしまう。

 ひとりで、想像力をウサギのように跳躍できる時間を、重んじたい。