初めてのデート

 中学の時、丸の内公園…北の丸公園?、方向的に日比谷公園のほうだった。
 身体的にも仲の良かった同い年の女の子との外出であり、母親から「あまり人前でイチャつかないように」とクギを刺されての、よく晴れた週末の、初めての野外デートだった。
 内容はよく覚えていない。ただ浮ついた心で電車に乗り、天気のいい公園で手をつなぎ、とにかく歩いて、ベンチに座ったりしたのだろう。

 相手が変われば、いつも初めてのデートである。
 中学を卒業して、働いていたバイト先で仲良くなった女の子との初デートは、池袋のデパートだった。
 彼女が家具を見るのが好きだったので、家具を見た。家具というと、どうしても「家」が連想され、まるで結婚するみたいな妄想に一瞬とりつかれたが、2、3秒で払拭したのを覚えている。

 おたがいの存在の土台のような漠然とした何かが根本的に違っていて、ふたりともそれは分かっていたので、何ということもなかった。
 そのデパート・デートが、最初で最後のふたりの時間だった。

 町を行く女性たちを見て、ああ、世の中には、きれいな女の人っていっぱいいるんだなぁ、と実感したのも、この14、5歳の頃だった。

 以後しばらく、異性と対になっての外出とは疎遠な生活をして、10代後半あたりから、なんだかいろんな異性と交流した。
 ジルベール・ベコーのコンサート、昭和女子大の人見記念講堂。
 渋谷のどじょう料理、居酒屋、プラネタリウム、柏のビアガーデン。

 しかしやはり、「喫茶店」がいちばん多いのか。出会ってまもなく、嬉々として対座して、どうでもいいコーヒーを飲んだこともあれば、どうにもならない別れ話が行なわれたこともあった。

 しかし、デートはいい。一対一という状況は、人と人が関係するに理想的な状況であるらしい。
 かなしい別れの、さいごのデートみたいなものでも、それからひとりひとりの始まりとしての確認もできる(?)
 もともと、ひとりひとりが基本だ。
 だのに、ひとりがふたりになれたような時間を過ごせるのが、素敵なトキメキでもあるのだろう。
 あるのだろうな。
 反芻、反芻…。