モーツァルトの優しさ

 もし、これを読んでいる読者がいらっしゃったら、何か憂鬱な、殺伐とした世の中、ぜひモーツァルトを聴いて、心、安らいでいただきたい。
 などと、殊勝なことを書きたくなって、書いている次第。

 眠れない夜なんか、いいかもしれない。
 モーツァルトは、身体の細胞が、落ち着く感じがします。
 何か、魂のようなものに触れてくる、心地良さのある音なんです。

 落ち着くって、「然るべきところに、然るべきものが、はまる」という感じで、そこにはまるまで、心、さまよっている気がします。

 モーツァルトは、様々な協奏曲を書いたけれど、その楽器の持つ特性を、とても、つかんでいたようです。
「フルートとハープの協奏曲」なんて、喜んで踊っているようだしファゴット協奏曲は、ひょうきんに、ぶつぶつ文句を言っていますが、ユーモラスで、愛らしい。

 感情。不思議なものですね。しっとりとした、亜麻色の少女の髪みたいな音楽は、気持ちをやさしくするようです。
 やさしさに包まれると、それは、音と感情が同化するようなものですが、気持ち、しんみり、落着するようです。

 きれいなものに触れると、何だか、しんとして、涙ぐむ気持ちになる時があって、人の、やさしさとか、触れた時、よく私はそうなります。
 巷間は、あんまりいいことなさそうですね。これから、世の中、どうなるんでしょうね。
 私には、分からない。分からない所に、身を置けるって、素敵なことだと思いたいものです。