わたしたちの存在に意味があるのか?
そのために生み出されたんだろう、わたしらは。
それにしても、多いな… 日本語だけでもけっこうな量だ、なのに英語フランス語中国語ロシア語、etc,etc…
英語を話す時、急にしっかりする人がいる。それまで日本語で喋っていた時は小さな声で頼りなげだったのが、急に大きな声で、しっかりした口調で、確固とした自我を持っているように話し出す!
言語が人に与える影響、形成力たるや!
赤ん坊のあやし方ひとつでも違う。英語を話す人は、「~でチュね~、キントトでチュね~」なんて幼児語を使わない。媚びないんだ、幼児だからといって。相手が幼児であるからこそ、こっちは大人として確固とした態度で接する。
相手に同意を求める、その要素が日本語にはもう内包されている…
ところで、われわれの存在理由は? ヒトは特に目的を持たずにつくられたモノだから、その存在理由も明確でない。迷える子羊たらんとして、その通りにそうなるわけだ。
すると、どんな目的で生きようと、自由なわけだ。
そう考えると気楽だね!
いや実際そうだろう。不自由になるのは、不自由を求めるからで。
われわれも、ずいぶんと不自由でないか? 好きなように使われているが!
俺らは言葉と呼ばれているが、たいして信じられなくなって久しいな。
嘘ってやつがいるからなあ!
うふふ。あいつも立派な言葉なんだが。特にわれわれと変わりはないぞ。
うん。おかしなものだ。
なあ。情、なんじゃないか? 刺さる言葉も刺さらない言葉も。嘘もほんとも。
情── こいつから流れる、流れ出てしまう言葉が。こいつが、何かあるぞ。
何かあるんだろうな。
ああ、何かあるぞ。情… こっからの、われわれの仲間には!
湧き立つもの、奮え立つもの…
で、ここの作者は乱暴な言葉を使い始めた、と?
文語体、口語体とあるが、もう文語体には飽きたらしい。いや、そういった〈体〉を脱したいらしい。
なるべく〈情〉に近づくために? 俺らはいいように使われるなあ、いつもいつも!
仕方ない、俺らはヒトにしか使われないんだ… ありがたがられもせず! 平気で文句に使われ、愚痴に使われ…
ちっとはこっちの身にもなってほしいよな。好き勝手に使われる身にも!
それでいて「言葉は不自由だ」「不完全だ」などと抜かしやがる!
たまったもんじゃないね… 俺らをつくった創造主が! てめえが不完全だからだろうが!
まあまあ… ここの作者は嘘はつかないらしいから、信じてやっていいんじゃないか?
ほんとかね?
おいおい、俺らが疑ってどうするんだよ。
言霊って、ほんとにあるのかね?
俺らがそうらしいから… あるんだろう。
ほんとに?
おいおい… たまんねえな、畜生!