ここはどこか?

 そんなこと、知らなくても生きて行けるよ。
 ここがどこだろうと、かまわない。
 それがホントの 生きる、ってことかも。

 いや、生きて「来た」も「行く」も、ないかもしれない。
 あるのは、やっぱり「今」だけで。
 それだけで、足りなさを感じる、われわれ「健常者」が
 ホントは、間違っているのかもしれない。

 今、生かされているだけで十分なのに
 先のことを心配したり、過去のことを後悔したり
 どうにもならないことを
 どうにかしようと、あがいているのかもしれない。

 どうもしなくて、
「今、足りていることを知る」だけでいいのに。

 足りない、足りない
 そう嘆いて、不安になって、自殺までしそうになって
 ホントは、足りていることに
 気づいていないだけなのかもしれない。

 足元を見よう、足を見よう、足の裏を見よう
 動けない足だって、見ることはできる
 ここにある、ここにある
 心にだって、足がある、目がある

 ニンゲンの進化の過程で失われた
 太古の記憶が、触覚が、尻尾が

 もう十分、進化したし
 あとは ゆっくり、今までの忘れた記憶を
 夢の中でまどろんで
 焦らず、あわてることなく
 今だけを 楽しむのがいいのかもしれない