こんな時、ニーチェ

ツァラトゥストラ!

あの叫び…、あの本全体を覆っているのは、ニーチェの叫びだ。

覆われているが、だから解き放たれている。

自己の殻を破り、太陽に突き進む。「おまえの見る太陽に」。

また新しい殻におまえは覆われる。それをも、また破ってく。

常におまえは新しい。

この川のように新しい。

おまえは、おまえの川を流れるがいいよ。

おまえだけが体験する、冷たさ、激しさ、静けさ、その流れ

流れていくがいいよ。

海に出て 蒸気になり 天に昇り

また雨になり 流れるがいいよ

それはおまえの世界であり

おまえであったところの・・・・・・・世界だ

おまえは常に新しい

常に今は過去になり

それに囚われているのはおまえの頭だけだ

身体、この世のモノ

存在

単なる一時に過ぎないよ

その連続が永遠に見えるだけであって

もっと大きな、ほんとの永遠に包まれているんだよ

それを見る眼、触覚をもったおまえは

その身体がある間

おまえのままに流れ

脱皮を繰り返し

ゆっくり、すばやく、ゆっくり、すばやく

ぴちぴちになって

生きてる自覚がもてる限り

最後の息が鼻から洩れるまで

流れ、流されていくがいいよ

繰り返し、繰り返し

永遠の繰り返しを

繰り返し