「それにしても、移り変わりの速い時代になったものだね」
「ああ。トレンド入りだとか急上昇ワードだとか。数秒で浮いては消えて、泡だね、泡。シャンパンの泡なら、まだ美味しさも味わえるが、これはただのあぶくだね。石ころがポチャンと池に入って、飛び跳ねた一瞬の水かもしれない」
「水にも美味しい水があるが、池の水ではねえ。SNSって、何なのだろうね」
「マッチング・アプリなんてのもあるらしい。要するに、出会い系だろうね。AIが相性を診断して、まあ、お見合いの仲人役をコンピュータがやるのかね。昭和の時代からは考えられん時代になったものだ」
「お前さんも、も少し若くてギラギラしていた頃であれば、喜んでやっていただろうね」
「だろうね。一時期しっかり熱中して、そして飽きるだろうな。でも、やっぱり出会いたいから、探すんだろうな、そのマッチングナントカで」
「ついて行けんな、もう。ついて行こうとも思わんが、ほんとにスマホってやつは…」
「人間を変えるものかもしれないね。生活を変えるに留まらず、人間の内部に食い込んでくるモノのように思えるね」
「どんな時間に自分の多くの時間を費やすか。これによって、ヒトは変わって行くからなあ。これだけスマホが蔓延ると、もう止められないね。便利だし」
「こんなブログにしても、SNSの一つなんじゃないか。つまり、泡だよ、泡」
「泡として、一瞬浮かべるだけでも、いいんじゃないかな」
「まあ、きみの場合、ぶくぶく沈んで、そこから出てくる泡だからなあ」
「生きてる証拠みたいな泡であれば、それもいいんじゃないかな」
「まあ、仕方ないね」
「うん、仕方ない」