ああ、暑い。往復一時間、歩いてタバコ屋へ向かう。
「暑いですねえ」とお姉さん。「気をつけて下さいね」
「あ、ありがとうございます。(お姉さんは)大丈夫ですか?」
はい、大丈夫です。
お強いですねえ、と笑って言う。
「よく食べて、よく寝て…」
「あ、基本に忠実に」
「はい、欲望のままに」
「あ、何よりです」と笑って応えたら、あはは、とほんとに可笑しそうに笑われた。
お姉さんはいつもこちらを真っ直ぐ見て話すので、私は何となく目を伏せて話している。
でも、一緒に笑い合ったりする時や、「どうもありがとうございます」「どうもありがとうございます」と最後に言い合う時は、おたがい目を合わせて笑顔のままに別れる。
素敵なお姉さんである。
相手の目を見て応対するお店の人は、少ない気がする。
スーパーでも、ほとんどのレジの人が客と目を合わせない。「レジ袋は大丈夫ですか」とか訊く時ぐらい、下を向いていなくてもいいんじゃないかと思う。感じのいいレジの人は、大抵こちらを見て接してくれる。こちらとしても気持ちがいい。
それにしても、「はい、欲望のままに…」と、こちらを真っ直ぐ見て言われた時は、ちょっと本気で笑ってしまった。(一瞬、よからぬ方の「欲望」のことが頭をよぎった)
とにかくマイペースで時間を過ごされているようで、ほんとに何よりだと思う。
しかし暑い。