あたまのかたち

 頭の形を、この人生で二回ほど、褒められたことがある。

 たった二回、褒められた。

 だが私は、あやうく「よく褒められる」と書こうとした。たったの二回が、「よく」と書こうとさせたのだ。

 よほど、私は、この褒められたことが嬉しかったのだ。そしてこの頭の形を、ひそかに誇っていたのかもしれない。

 ほかに、誇るべきものがないからであろう。なんという「誇るべきこと」だろう!

 誇る、ということなど、こんなふうに、ちっぽけなことのようにも思える。

 大体、他者がいないと誇れないなど、なんと弱っちい、脆弱な、笑うべき「誇る」か。

 なるべく、何も誇らない、誇りようのないような人間でありたいものだ。(ナンダ、コノママジャナイカ?)

 メッキは剥がれる、そして錆びていく。それもまた、きっといいけれど。