タイミング

 銭湯で仲良くなったが、年に1、2回ほどしか会わない人が、「ワンピース、面白いですよ」と言っていた。
「ただ、かなり長いので…80巻だったかな」それが私の、アマゾンで買わない理由である。しかも、まだ続いているらしい。
 前の職場でも、「ワンピース、知ってる?」と仲良くなった人から訊かれたりしたので、とても気になるマンガだ。

 ワンピースとは、婦人の洋服かと思った。あるいは、平和、ひとつの平和という意味か。または、その平和をつくる1つのピース、一片が、ひとりひとりであるという意味だろうか。
 しかし80何巻もあっては、買いにくい。家の本棚が、ワンピースだらけになってしまう。だったら、「世界の名著」を全巻揃えたいと思ってしまう。

 ところで、感動したマンガといえば、「デビルマン」が挙げられる。これは、会社の寮生活をしていた頃、階段下のごみ置き場に全巻置いてあったので、拝借して読んだ。
 子どもの頃にアニメで見たことがあるけれど、原作がこんな凄いものだったとは知らなかった。人間が悪魔であり、悪魔であったはずのデビルマンが、よほど人間的だった…というような、しかしそんな単純な話でもなく、読んでいて圧倒されてしまった。

 作者の永井豪も、この「デビルマン」は取り憑かれたように書いていたらしい。ミキちゃん(主人公の恋人)が人間どもに殺される場面は、書いている本人が「ほんとうに悲しかった」とあとがきに書いている。

 やはり友人から薦められた白土三平の「カムイ伝」は、全巻、古本屋で買ったのだが、これは途中で挫折している。これも長いマンガで、まだその後の続きがあるらしい。
 マンガも文学の本も、その時は読めなくても、いずれ何かのタイミング、ものの弾みですらすら読める時がある。「カムイ伝」は、きっとそういうマンガなのだと思って、いつでも手に取れるよう、コンポのラック下に収納している。