T自動車の頃(2)

 僕の工程「インマニ」は、僕と新入社員のK君がふたりでひとつのように作業している工程である。
 僕がつくったインマニに、K君がチェックを入れ、箱に入れ、後工程へと運搬が運んでくれる。

 インマニにはいろいろ部品を付けるので、その部品補充(けっこう重い)もK君がしてくれる。それが彼の仕事だからである。

 K君は、まだ会社の悪い慣習に汚されていないせいか、しっかりチャンと仕事をする。よく作業中に話もするが、チャンと人の話を聞き、しっかり自分の意見を言う(けっこうユーモアもある)好青年である。

 よくやってくれるので、僕も彼の仕事を手伝ったりする。
 だが正直言って、今日は手伝い過ぎてしまった。(←ホンネ。)
 インマニそのものも、けっこう重い。1箱に3コ入っているからである。
 K君の仕事は、そのほかにも、いろいろと重いものを持って運ばなければならない宿命にある。

 たまに腰をトントン叩いている姿を見ると、痛ましい。
 で、今日はほとんど、せめてインマニの箱くらい、自分で補充しよう、と思ったのだ。
 いや~、キツかった。
 しかし、と考える。

 これが自分の仕事だったら、充実感に代わるのかな、と。
 K君の仕事を「手伝ってる」、つまり、自分のしなくていいことをした、という気持ちが僕の中にあって、それが「キツく」感じられたのかな、と。
 自業自得なんだけど。

 今までもよく手伝ってたけど(なんかこういうの書くのイヤラシイね)、今日はほんとに『かなり』手伝ってしまった。ほとんど意地だった。
 明日はどうなるのかな、なんて考えたりする。
 でも、そばにいる人が大変そうだったら、そして自分がそれをやわらげることができるなら、やるのがトーゼンですよね?
 ほどほどに、か。
 ↑自己完結してます。