トムとジェリー

 いきつけの激辛ラーメン屋のテレビは、いつもトムとジェリーをやっている。
 無音声でも十分楽しめる。チャップリンの映画みたいである。
 ラーメンを食べて外に出たら、汗が噴き出した。暑い。

 スーパーへ行って今夜の夕食の買い物。キムチ鍋にするつもりである。

 帰宅すると、猫はキャットタワーの上で眠そうにこっちを見ていた。
「ただいまー、福」と言って、至近距離で見詰め合う。昼間の猫の目は、夜と違い、黒目が細い縦線である。

 福は目ヤニもなく、鼻クソもない。真っ白な毛が白虎のようで、神々しい感じさえする。
「カッコいいねー、福。福、カッコイイーー!」(オリラジ風に)

 すると福は、うるさいなぁ、といわんばかりに、高いタンスの上へ移動し、こっちに背を向けて寝始めた。

 そういえば今朝、玄関の前を掃除していると、クワガタが仰向けに倒れていた。小さな、メスである。
 触ったら動いた。大丈夫かな。インターネットで「くわがた エサ」と入力し、検索。

 クワガタは、バナナとリンゴを食べるとあった。
 朝、ぼくが食べたリンゴの芯を、ゴミ箱から取り出して、クワガタに与えた。(正確には、クワガタをリンゴの上に乗っけた。)

 見ると、クワガタは口らしき場所から2本の毛のようなものを動かしている。
 その毛のようなもので、吸っているのだか食べているのだか、ともかくリンゴを吟味している様子だった。
 夕方になった今も、玄関横のプランターのパンジーの裏で、リンゴにしがみついている。

 昨夜は、マンションの廊下の壁に、ヤモリだかイモリだかトカゲだかが1匹いた。
 小さい身体で緑色をして、ユーモラスな顔をしていた。
 福が手を伸ばしていたので、何だろうと思ったら、かれだった。

 先日は、家人が自転車置き場でカエルを見たという。
 緑色の小さなカエルが、家人の自転車に付いていたらしい。

 いろんな生き物が、元気でいてくれるとありがたい。
「トムとジェリー」みたいに、バタバタしながらも、共存が基本である。
 人間どうしが、共存できなくなっているような気が、しないでもないけれど。